中国古代史を描いた小説

歴史小説

中国古代史というと、戦国時代を描いたキングダムが漫画にもなっていますし、アニメも人気です。しかし、そんなキングダム(紀元前200年-300年)よりもさらに昔を描いた小説について、整理したいと思います。

夏 → 殷の時代

世界史の授業で誰もが習ったことのある、「殷」ですが、それ以前に「夏」という王朝があったとされています、この辺りは歴史的にまだ確定していないのですが、そんな時代を描いた小説として、「天空の舟」があります。

あ、先にお伝えしておきますが、今回ご紹介する小説は全て、宮城谷昌光さんの作品となります。

この天空の舟という小説は、夏の料理人であった「伊尹」(いいん、と読みます)がのちの湯王とともに、夏を滅ぼし殷をたてる物語です。伊尹も湯王も実在したとされていますが、小説の中身はほとんど創作だと思います。

小説 伊尹伝 天空の舟 上 (文春文庫 み 19-1)
中国古代王朝という、前人未踏の世界をロマンあふれる勁い文章で語り、広く読書界を震撼させたデビュー作。夏王朝、一介の料理人から身をおこした英傑伊尹の物語。(齋藤愼爾)

殷 → 周の時代

次の時代は、殷から周に映る時代です。

この頃を描いた作品が「太公望」です。名前だけは聞いたこともあると思います。殷を滅ぼし、周をたてることに尽力じた太公望という方のお話、周をたてたのちは、中華東方の斉の領主になっています。

太公望(上) (文春文庫)
古代中国史の中で、この男ほど謎と伝説に彩られた武人はいない……。羌(きょう)という遊牧の民の幼い集団が殺戮をのがれて生きのびた。年かさの少年は炎の中で、父と一族の復讐をちかう。商王を殺す――。それはこの時代、だれひとり思念にさえうかばぬ企て...

周の時代(春秋時代)

周の時代、といっても周を描いた作品ではなく、この時代の俗称である、覇者の時代にちなんで覇者とそれを盛り立てた宰相たちの作品が多くあります。読んだ順に書いていますが、古い順になっています。ちなみに春秋五覇というと、5人いるのか?と思いますが、諸説あるようで5人以上出てくる場合があります。もっともな5名を挙げると、斉の桓公(かんこう)、晋の文公(ぶんこう)、楚の荘王(そうおう)、呉王闔閭(こうりょ)、越王勾践(えつおうこうせん)が一般的なようです。

呼び方で気づくかもしれませんが、文公までは「公」を名乗っていますが、それ以降は「王」を名乗っています、これはどうやら周王朝の支配力が及ばなくなり、各地で王を名乗るようになったようなのです。キングダムでは、戦国七雄として、秦や趙、斉、などなどそれぞれ「王」を名乗っていますよね?

これは勝手な解釈ですが、日本でいう朝廷が周、征夷大将軍となって幕府を開いた者が覇者みたいな感じなのだと思います。

管仲(かんちゅう)

斉の宰相、管仲という方のお話、春秋五覇の一人、桓公を支えた。「管鮑の交わり」という故事が有名。

管仲 上下巻セット
管仲 上下巻セット

重耳(ちょうじ)

春秋五覇の一人、晋の文公のお話。次に紹介する「砂中の回廊」の他にも「介子推」という作品もあります。晋はのちに魏、趙、韓と三つに別れてしまいます。キングダムでもお馴染み三国ですが、晋が分離した頃を境に、戦国時代、と呼ぶことが定説らしいです。

重耳(上) (講談社文庫)
黄土高原の小国曲沃(きょくよく)の君主は、器宇壮大で、野心的な称(しょう)であった。周王室が弱体化し、東方に斉が、南方に楚が力を伸ばし、天下の経営が変化する中で、したたかな称は本国翼(よく)を滅ぼして、晋を統一したが……。広漠たる大地にくり...

沙中の回廊(士会(しかい))

晋の宰相、士会という方の話。

沙中の回廊 上 (文春文庫 み 19-14)
中国、春秋時代の晋。没落寸前の家に生まれながらも武術と知力でのぼりつめ、名宰相となった天才的な兵法家の生涯を描く歴史長篇

子産(しさん)

鄭(てい)に仕えた政治家の話。

子産(上) (講談社文庫 み 34-18)
孔子に敬仰された最高の知識人の生涯吉川英治文学賞受賞信義なき世をいかに生きるか――春秋時代中期、小国鄭は晋と楚の2大国間で向背をくりかえし、民は疲弊し国は誇りを失いつつあった。戦乱の鄭であざやかな武徳をしめす名将子国(しこく)と、その嫡子で...

晏子(晏嬰(あんえい))

斉に仕えた政治家の話。

晏子(一) (新潮文庫)
強国晋を中心に大小いくつもの国が乱立した古代中国春秋期。気儘な君公に奸佞驕慢な高官たちが群れ従う斉の政情下、ただ一人晏弱のみは廟中にあっては毅然として礼を実践し、戦下においては稀代の智謀を揮った。緊迫する国際関係、宿敵晋との激突、血ぬられた...

呉越春秋 湖底の城(伍子胥(ごししょ)、闔閭(こうりょ)、勾践(こうせん))

楚を亡命し、呉王闔閭を助け楚を滅ぼした伍子胥、また、呉を滅ぼした越王勾践が出てきます。そうそう、「孫子」という兵法書を記した孫武という方も出てきますね。伍子胥と孫武でもって南の大国楚を滅ぼします。ま、すぐに復興するみたいですけど。

呉越春秋 湖底の城 一 (講談社文庫 み 34-20)
春秋時代末期の揚子江流域で覇権を争う呉と越。越王勾践に覇を唱えさせた名将・范蠡(はんれい)の類稀な生涯を壮大なスケールで描く。春秋時代後期に覇権を争う、楚、呉、越。楚の人、伍子胥は堂々たる体躯で将来を嘱望される青年。伍子胥は、呉との国境近く...

まとめ

今回は中国古代史を描いた宮城谷昌光さんの小説を整理してみました。実際に読了したものしか載せていませんが、他にもたくさんの作品があります。最近の作品だと、「論語」を記した孔子を描いた「孔丘」とかですかね、孔丘は孔子の本名らしいです。

孔丘上下巻セット
孔丘上下巻セット

まあ、実在こそしたものの、記録が詳細でない方々の話なので、著者の宮城谷さんの創作も多分にあると思いますが、さまざまな歴史書を辿って構成されているので、全くの作り話というわけでも無いみたいですので、当時何があったか知りたい方は一度読んでみてはいかがでしょうか?

個人的には、「重耳」がおすすめです。

あと、この後の時代を描いた作品を今読んでいるところなので、まとまったらまた紹介しますね。次は戦国時代編を予定しています。

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