「竜馬がゆく」を読んで。

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途中の長い中断もありましたが、ようやく読み終わりました。ホントに「ようやく・・・」といった感じでした。なんと言っても長い、坂本龍馬というたった一人の幕末の奇跡を描くために文庫本全8巻・・・これは長すぎです。
「坂の上の雲」も全8巻でしたが、あれは大山、児玉や乃木といった日露戦争を勝利に導いた軍人がたくさん登場していたし、また、当時のヨーロッパ(仏、独、露)などのことも書かれているので、それこそ飽きない作品でした。それに何といっても、日本海海戦の様子が事細かに描かれていて、当時の様子が想像されるかのようでおもしろかったです。
今作はただ一人の人物を描いているので、正直飽きました。特に歴史の表舞台に登場してくるまでがなんとも退屈、6巻ごろから面白くなりました。
たった一人の人物を描くのに文庫本8巻・・・、作者はよほどの「坂本龍馬」好きなのだろう・・・。


坂本龍馬といえば、「海援隊」「薩長連合」「大政奉還」といったキーワードで思い浮かびますが、それらが描かれるのが、ちょうど6巻からでした。
坂本龍馬が幕末に何をしたのか知りたいのであれば、6巻から読めばよいでしょう。もし坂本龍馬という人間を知りたいのであれば、全巻読むべきだろうと思いました。
私の場合、幕末に何があったか知りたかっただけなので、当然前者。だから、この作品については、世間で絶賛されるほどのものは感じませんでした。ですが、幕末に起こったいろいろなことがよく書かれていて、それはそれで面白いと思います。
特に幕末を牽引してきた長州と薩摩の対比がものすごかったです。
かたや吉田松陰、高杉晋作や桂小五郎を擁し、その過激攘夷思想がもとで、2度にわたり幕府と戦を起こした長州藩、かたや西郷隆盛、大久保利通、小松帯刀を擁し、斉彬仕込みの論理的立ち回りで、最後の最後まで幕府よりを保ち、大政奉還のその時まで、都合のよい立場をとってきた薩摩藩。
個人的には感情的な長州のほうが気に入っていたので、薩摩の八方美人さというか立ち回りの妙に虫唾が走りました。薩長連合前夜、坂本龍馬の前で泣きながら助けを求めた、桂小五郎が非常にカッコよかった。
でもその感情的な長州と論理的な薩摩がいたればこそ幕末の改革は成功したのだろうな・・・。だから当時犬猿の仲だった両者を取り持った坂本龍馬が有名になるのであろう。だからもし、「鳥羽伏見の戦い」で幕府が勝利していたら、「坂本龍馬」はそれほど有名にならず、それこそ「松平容保」や「近藤勇」「土方歳三」といった幕府方の人間が脚光を浴びていたのだろう・・・。
だから、物事正しいかどうかなんて、その時にはわからないものなんだな・・・。結局物事を客観的にみる後人によるところが大きいのだろう。
大政奉還に関しては、当時唯一の「日本人」であった坂本龍馬だから、実行できたのであろう。
それこそ、欧米の制度を見習うべきと主張していた人物は、勝海舟などたくさんいただろう・・・、だけど坂本龍馬と違い「幕府」や「藩」といった足かせを付けていたから実行できなかった。
ところが坂本龍馬は脱藩の身、そういった足かせもなく、また、攘夷側、幕府側両者に無駄がない策を考えていたからこそ出てきた発想といってよいだろう。
最大の関心事は坂本龍馬が近代国家を創ることが主目的でないことだった。
彼は諸外国との海上貿易に興味を持ち、そのために自分を「自由」にするために近代国家を作ろうとしたことである。だからあれだけの偉業を達成できたのだろう・・・。
それだけに事が成り、これから自分の夢に走ろうとした矢先の暗殺は、少し残念。近代国家の土台を作ったとはいえ、20年いや30年は日本の近代化を遅らせたのは間違いないだろう・・・。
次はやはり、長州を描いた「世に棲む日日」ですな。まあ試験も近付いてきたので、勉強もしなくてはいけませんがね・・・。

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